システム開発 System Development
印刷業株式会社 中央商会様 オリジナル在庫管理システム
取引先と共有できる在庫管理システムの導入で
安心感と安定供給を実現。受注量も2倍以上に増加
得意先の商品ラベル200種を扱う中央商会様では、その在庫管理の方法を模索していました。得意先からの注文が入ると、翌日には納品というスピード感を求められる一方、製作は外部の業者に依頼する必要があるため、そのタイミングをコントロールすることが急務でした。そこで専用システムを組むことで在庫管理と発注にかかる手間を簡便化し、スムーズな応対をすることを実現。同時に、在庫や制作状況を得意先にも見える化することで信用を増し、受注数を2倍以上に増加することに成功しました。
業種 | 印刷業 |
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導入システム | オリジナル在庫管理システム |
開発期間 | 3ヶ月 |
背景アイテム数が多く、甘くなりがちな在庫管理を改善したい
わが社が扱う商品のひとつに、ある商品のラベルがあります。これは得意先専門の商品で、在庫は社内で管理し、得意先からの注文が入ると、翌日に届けるようになっています。製作は外部の業者を使っているため、在庫が少ないアイテムは事前に制作を依頼しておく必要があります。
ひとつひとつは小さな商品ですが、取扱い数は200種と多くある上に、1回の納品数は5千枚が通常。一方、製作は1万枚~10万枚と出庫状況にてコントロールが必要となっているため、過去の履歴や現在庫量など、判断に必要な情報も把握する必要があります。
これまではExcelで在庫を管理していましたが、そのファイルを操作するのは担当者のみ。さらに倉庫で入力をしないために、どうしても未入力が発生し、実在庫とデータ上の数字にズレが出ていました。そのため、取引先からの発注があるたびに在庫を確認したり、棚卸しに時間がかかったりとムダな時間が発生していて、これを改善する方法を考えるようになりました。
経緯得意先との在庫数の共有とパソコンがなくても管理できるシステムが欲しかった
大きな懸念事項となっていたのは、倉庫にパソコンがないという点です。在庫管理をするためにパソコンを設置するといった方法ではなく、パソコンがなくても適正に管理できる方法を探す必要がありました。
また、これまでは、得意先との在庫数の共有は定期的に在庫数を記載したExcelファイルを送信したり、問い合せの度に電話で回答したりするようにしていました。これは双方にとって最良の方法とは言えないため、在庫数の把握を、それぞれが必要なときにできるようにする必要があると考え、市販されている在庫管理システムではなく、独自のシステムを導入する選択をしました。
要望どうしても必要だった6つの機能、+αの提案にも感激
独自システムの開発においては、6つの要望を出しました。
- 在庫数を社内だけでなく、得意先の担当者とも共有したい
- パソコンがない倉庫でも運用できるシステムにしてほしい
- 入庫、出庫に関する登録を簡便化し、適正な在庫管理をしたい
- 在庫数がしきい値より少なくなったときのお知らせ機能がほしい
- 最終入荷から6か月経過した在庫のお知らせ機能がほしい
- 棚卸が簡便にできる仕組みにしてほしい
これらの要望を伝えたところ、帳票類の作成も簡便にできるシステムにしてはどうかとの提案を受け、より用途の広いシステムを導入することになりました。
具体的なシステム要件とご提案内容
[ご提案内容]
- データベースを活用した情報の一元化とムダのないデータ活用
- 自動アラートや帳票の自動生成で運用者を強力にアシスト
- 得意先とのやり取りの記録を残すことで、トラブルをなくす工夫
[システム要件]
- ユーザーごとの権限機能
- ユーザー認証機能
- 商品情報管理機能
- 製作依頼(および修正機能)
- 発注依頼(および修正機能)
- 棚卸機能
- 帳票作成機能
導入したシステムの概要
導入後の評価
<制作の流れ>
得意先からの商品製作の依頼は、電話やメールなどで行われます。その後、まずは電話で製作会社に必要日数の確認をする流れはこれまでと変わりありません。その後、正式な依頼となりますが、製作依頼をシステムに入力すると、製作会社に依頼メールが送信されるのと同時に、得意先にも製作依頼をしたことや入荷予定日をメールで知らせる仕組みができました。
また製作会社で出荷登録をしてくれれば、わが社はもちろん、得意先にも連絡が行くようになっています。
この商品情報の共有化により、得意先の信頼を得ることに成功し、取扱商品数を2倍以上に拡大することができました。今後はさらに伸ばすことを目標にしています。
また入荷予定が過ぎても納品がない場合には、お知らせが来るようになっているので、トラブルの元を早期に発見できるようになり、取引がスムーズになっています。
<帳票類>
打刻するとモニター上にキャラクターが登場するのですが、出勤回数によってレベルアップしていくゲーム感覚があり、それがアルバイト間の話題のひとつとなっています。
「次のキャラクターを見たい!」と出勤回数を増やす人もでてきています。
またこれまでは月末にしかできなかったアルバイトさん自身による勤怠の確認が、いつでもどこでも簡単にできるようになり好評です。
<集計作業>
得意先から納品依頼があるときは、一度の入力で、「発注請書(FAX送信用)」「納品書」2通が出力されるようになり、ムダが省けています。この手間は、時間の負担だけでなく、担当者の精神的な負担にもなっていた部分なので、とてもありがたいです。
また一度の作業で複数の帳票ができれば、確認作業が楽になるメリットもあり、ここでも時間の無駄が省け、うれしく思います。
<在庫管理>
在庫数がデータベース化されたことで、権限を持っている人ならいつでも状況を把握できるようになりました。これにより担当者が不在でも在庫の把握や製作状況を知ることができるようになり、社内で大きな安心感につながっています。また商品の動きがあれば、必ずデータベースに入力しなければならないため入力もれがなく、データの正確性が格段に上がりました。
「出荷しようと思ったら、あるはずの商品がなかった」といったトラブルも回避できるほか、動きがないために忘れてしまいがちな不良在庫もしっかり把握できるようにもなっています。
また商品ごとのQRコードを作成することで、パソコンがなくてもタブレットやスマートフォンで出荷や入庫記録できるようになりました。後で入力する場合、どうしても忘れてしまいがちで、そのために在庫とデータが狂ってしまうので、これは非常に便利な仕組みだと思っています。
ポイント情報の一元管理とその運用のための簡便な手法を取り入れることを重要視
今回の在庫管理システムの開発にあたり、情報の一元管理とその運用のための簡便な手法を取り入れることを重要視しました。
特にクライアントの他に、得意先と製作会社が存在するため、社内での情報共有だけでなく3社を絡めた流れをスムーズにしなければ、システム導入の価値は低くなってしまいます。そのため取引に必要な帳票類の作成を自動化したり、クライアントと製作会社を絡めた状況を得意先にも把握してもらえるような連絡機能を付加しました。
データベースは専用サーバーで管理し、WEBを経由してアクセスする仕組みにしたため、どこからでもアクセスできるようにしています。得意先もデータベースを閲覧しますが、閲覧権限や認証機能を組み込むことで、セキュリティ面や出来る操作を制御しています。
在庫管理システムは流通しているものも多くありますが、そこから派生する作業(今回なら製作や出荷・納品手配など)まで網羅できるものはありません。また実際には使用しない機能も多数あるためカスタマイズは難しく、オリジナルのシステムをイチから構築しています。
オリジナルシステムは、必要な機能に沿ってシステムを作り上げるため、深堀りしたい機能はとことん機能を充実させ、不要な機能は排除することが可能です。そうすることで実際の作業性も向上するメリットがあります。
例えば今回は、在庫の入力にパソコン入力以外の方法を求められたためQRコードを活用しています。この背景には、制作会社とクライアントの倉庫にパソコンがないということがありました。
在庫管理にはバーコードを活用するシステムが多くありますが、この場合、専用スキャナーの購入が必要となります。社内システム導入のために、関連会社にその負担をさせることはできませんが、QRコードであればスマートフォンやタブレットさえあれば操作は可能です。こういった臨機応変な対応ができるのもオリジナルシステム導入のメリットのひとつと考えています。
在庫管理システムを導入したい企業さまへメッセージ
在庫管理は独立したシステムにするよりも、そこから派生するさまざまな作業と関連付けてシステム化する方が、より利便性の高いものにすることができます。全社的な大がかりなシステムの導入には大きなコストが必要となりますが、今回の案件のように、業務の一部に独自システムを組み込むようにすればコストカットはもちろん、開発期間を短くすることも可能です。
必要な機能や要望は、各企業様へのヒヤリングを実施した後にまとめるため、実用性の高いシステムを構築することが可能です。また使い方に関しては、マニュアルを作成した上で導入時に操作説明をしますので、どなたでも操作していただくことができます。
使用する中で、新たな機能を追加したいときや要件の変更がある場合、オリジナルプログラムであれば速やかな対応も可能です。必要であれば、保守管理もあわせて請け負うことも可能ですので、ご興味がある方はお気軽にお声かけください。